077042 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Lee-Byung-hun addicted

Lee-Byung-hun addicted

『I'll dream of you again』 

『I'll dream of you again』 scene1


「タリ、タリッ!ねえ、たまには散歩に行かない。揺、帰っちゃったよ・・」
ビョンホンはそういいながら犬小屋からしぶしぶ出てきたタリに頬ずりをした。
「そろそろいいかな。」そう訊ねるビョンホンにタリは「く~~ん」と鳴き嬉しそうに尻尾をふった。
「よしよし。」ビョンホンはタリの頭をなでた。


ビョンホンは途方に暮れたあの日のことを思い出していた。
あの日の夜、彼は揺を帰してしまったことを心の底から後悔していた。ただ抱きしめればきっといつもの二人にすぐ戻れたはずなのに・・彼女はその夜そこにいなかった・・。
ふとカレンダーを見る。その日は8月16日。「・・なんてこった・・・」ビョンホンは頭を抱えた。
どうして気がつかなかったのだろう。翌日は揺の34回目の誕生日だった。
揺は一体どんな気持ちで帰ったのだろう。
スエとの仲を誤解しているだろうか・・・。
考えただけで胸の奥がキリキリと痛んだ。彼は携帯電話を何度も手にした。そのつど呼び出し音はむなしく響き機械的な声が電源が入っていないと告げた。その声を聞いたのはその日何回目だったろうか・・・何度かけても繋がらない電話。

今日の電話は必ず繋がる・・・・。
あの時の分彼女に飛び切り楽しい誕生日と記念日をプレゼントしたかった。
彼はタリを抱きながら携帯電話のボタンを押した。
「もしもし?揺?今どこ?ねえ、今から戻って来られる?」
「えっ?どうしたの?何かあった?」彼の急な電話に揺は驚いていた。
「いや、忘れ物・・」
「いやだ。ちゃんとキスしたじゃない。もうビョンホンssiたら」
揺は恥ずかしそうに言った。
「そうじゃなくてさぁ・・」ビョンホンはそういうと頭をかいた。
「何?えっ、私本当に何か忘れたの?」
揺はあわてて荷物の中をガサゴソと調べ始めた。
「揺、違うよ。あのね。・・・君に誕生日のお祝いをしてあげようと思っていたのに会えたのがあんまり嬉しかったからかな。すっかり忘れちゃって。ごめん。」
「なんだ。そんなことか・・ビックリするじゃない。ありがとう。思い出してくれて。私も忘れてたわ。あなたにお祝いしてもらってないこと。女も30過ぎるとね、誕生日って結構どうでもよかったりするのよね。」揺は笑いながらそういった。
「何だ・・じゃ、黙ってれば良かったな。」ビョンホンは笑いながらそういうとタリの頭を撫でた。
「今日これから大切なお客様だって言ってたじゃない。」
「うん。そうだけど・・・君も大事だから。」
「・・・・やっぱり今日は気持ちだけもらっておくわ。プレゼントとあなたの身体は今度までのお楽しみにとっておくから。今度会ったときはすっごいサービスしてもらうわよ。覚悟しておいてね。でも、今度はいつになるか・・わからないわね。あなたも忙しいし。」
「揺・・ごめんな。わかったよ。じゃそうする。今度会ったら必ずいっぱいサービスするよ。気をつけて帰れよ。」思い切り残念そうに彼はつぶやいた。
「うん。ビョンホンssi・・」
「ん?」
「ありがとう」
「ああ。」
「じゃあね。」
「うん。・・・・・揺」
「ん?」
「サランヘヨ」
「ありがとう。私も・・・サランヘヨ」
二人はそういうと同時に電話を切った。
今日の夜の来客が次の仕事のクライアントだと聞いていた揺が遠慮したことは明らかだった。
「タリ・・・予定通りの展開だよ。俺って天才かもしれない。」ビョンホンはそういってゲラゲラ笑うとタリに頬ずりをした。
「こうやってちょっとお預けにしておいて・・・。あ~~どうやってお祝いしようか。ワクワクするなぁ~。あいつ俺が急に行ったらビックリするだろうなぁ・・タリどうしよう。・・・・やっぱり暇だからお前散歩に付き合えよ。」ちょっと嫌がるタリを散歩に連れ出しながらビョンホンはニヤッと笑った。
数日後二人がずっと一緒にお皿を洗いたいと言ったあの日からちょうど一年目を迎える。ビョンホンはその日のためにスケジュールを数日間空けてあった。その日はどうしても二人でお祝いをしたかったから。
彼は翌日、休み前に片付けるべき山のような仕事をてきぱきとこなすとプレゼントを抱え日本へ向かった。



© Rakuten Group, Inc.